コロナ禍のテレビ番組が面白くなるカギは「今だからこそ」の番組作りや工夫！

パイルアップ株式会社が誇るエンタメ研究員が思う「最近のエンタメ業界」に関するコラムの第1回です。
今後も不定期に連載を続けていきたいと思いますので、是非ご覧ください。

エンタメ研究員とは…　テレビ、雑誌、ラジオ、音楽、マンガなどエンタメ好きの弊社社員で、「エンタメリサーチ」の担当者です。

新型コロナウイルスはテレビ番組にも大きな影響

コロナ禍において、テレビ番組にも様々な変化がありました。「3密を避ける」「ソーシャルディスタンスをとる」といったコロナ対策のための、自宅や別室からのリモート出演や出演者同士の距離をとった放送などです。
最近ではそういった番組がかなり増えてきましたが、正直、対策をとっているポーズをするために無理やりやっている感じが否めないものも多くありました。しかし、個人的にはより面白いテレビ番組が見たい思いがあります。
そのため、とりあえず自宅や別室から放送したりとりあえず出演者同士が距離をとっていたりするように見える番組よりも、様々な制限の中でも工夫している番組の方がこのような時期ももちろん、これからも見たいと思うようになりました。

withコロナ時代のワイプ芸

リモート出演の番組で、最初に面白いと感じたのはこの春新しく始まった「土曜はナニする！？」でした。
春の新番組でいきなりこのような状況でしたが、山里亮太さんのMCはもちろん、デヴィ夫人が巷で話題のモノやお店を初体験する「今さらながら初体験!デビュー夫人」やイケメンがイケてるごはんを紹介する「イケメシ」など様々なコーナーなども毎週楽しみで録画して見ています。
中でも私が最も印象に残っているのは、5月2日（土）放送のアンガールズ田中さん、トリンドル玲奈さん、榊原郁恵さんが出演していた回です。土曜はナニする！？では、しばらくの間、4人のゲストがモニターに4分割にうつし出される形で、リモート出演をしていました。この放送回でもこの形がとられていて、左上に榊原郁恵さん、左下にアンガールズ田中さん、右下にトリンドル玲奈さんという並びになっていました。出演者同士の会話の中でアンガールズ田中さんが、4分割のモニター上で隣の枠にいるトリンドル玲奈さんに近付こうとして、田中さんの上の枠にいる榊原郁恵さんがそれを上から田中さんの頭を叩くようなしぐさで怒るというやりとりがありました。
リモート出演だと、画面が固まる、音声が途切れるといったトラブルがよくあります。そのため、リモート出演ではわざと動きを止めて固まったように見せるなど、リモートであることを活用したボケを芸人さんなどが行っていました。しかし、このパターンのボケがあまりにも多すぎて見飽きていた私は、アンガールズ田中さんたちのこのやりとりがとても面白く感じました。出演者それぞれのキャラクターも生かされてることや、今までのリモート出演ではあまり見なかったようなものだったことがその理由です。リモート出演で様々なことが制限される中でも面白くなるんだということを実感しました。

ソーシャルディスタンスを逆手に取るトム・ブラウン

出演者同士が距離をとっている番組では、5月22日（金）放送の「ネタパレ」が印象に残っています。
ネタパレはその名の通り、お笑い芸人によるネタ番組です。しかし、コロナ対策を考えると今まで通りのネタをするのは難しい状況となってしまいました。この日の放送回ではバーチャルネタSPとして、コンビ同士が距離をおいてネタを収録し、たとえば漫才であれば、コンビがすぐ隣でネタをやっているように見せるなど映像を合成したネタを放送するものでした。この放送では、コンビ間に距離があることや合成されることをあえて生かしたネタをやった芸人さんがとても印象に残っています。
例えば、トム・ブラウンは通常通りのネタだと「ダメ―！」と布川さんがみちおさんの頭をたたくのがおなじみですが、当然、ソーシャルディスタンスをとったらこれはできません。そこで布川さんは、離れたみちおさんの頭に届くくらいの長い腕のかたちの小道具で頭をたたいていました。距離があることを生かしていて、かつトム・ブラウンらしい馬鹿馬鹿しさもあり、涙が出るほど笑ったのを覚えています。

こんな時代だからこそ笑いたい！

今後もしばらくは、リモート出演やソーシャルディスタンスをとっての収録などが続くかと思います。今までのようなたくさんの人が集まってワイワイやるような番組が見れないと思うと、やはり残念な思いは強いです。しかし、「こういう状況だから仕方なく」「とりあえず距離をとっている」「内容が制限されている」ように見えるような内容ではなく、「リモートであるからこそ」「距離が離れているからこそ」楽しめるようなシーンがある番組であれば、残念な思いも払しょくされ、テレビをより楽しめるようになると思っています。

＜公開中のエンタメコラム＞
2020.07.02公開　vol.1　＜コロナ禍のテレビ番組が面白くなるカギは「今だからこそ」の番組作りや工夫！＞
2020.07.22公開　vol.2　＜推しは推せるときに推せ！＞
2020.08.06公開　vol.3　＜おじさんから聞かれる「エモいって何なの？」＞

＜公開中の自主調査レポート＞
2020.04.23公開　vol.1　＜注目の新ドラマ＆再放送などでも話題の「また見たいドラマ」は？＞
2020.05.08公開　vol.2　＜ドラマや映画に欠かせない女優＆俳優、その評価は？＞
2020.05.21公開　vol.3　＜ドラマや映画での活躍には本業での活躍が必須？＞
2020.06.04公開　vol.4　＜世間の約3割はテレビ番組の作り手を気にしていない！？～脚本家編～＞
2020.06.11公開　vol.5　＜世間の約3割はテレビ番組の作り手を気にしていない！？～バラエティー番組編～＞
2020.06.18公開　vol.6　＜多くの媒体で広がる活躍の場、どう思われている？＞

お問い合わせ・相談窓口

「調査結果を使用したい」「アンケートを依頼したい」等、お問い合わせについては、下記の「Contact」よりご連絡下さい。